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ノーマル形状サスのメリットはあるのか

いまや車高調でも比較的安価なものがリリースされています。似た価格帯の純正形状の後付サスペンションにメリットはあるのでしょうか。

形状の違い


車高調。バネが細く、本体にはネジが切ってある。

ノーマル形状と、車高調を見比べてすぐに分かる形状の違いが、バネの形です。細身の円筒形である車高調に対し、ノーマル形状は径が大きく不揃いです。車高調はこれを使わず、きれいな円筒形のバネを使用します。

次に、本体にネジが刻んであるかないかがすぐに分かる違いです。これは車高を調整するためのネジです。

機能の違い

バネを外してしまうとそんなに違いのない形状に見えますが、具体的な機能は何が違うのでしょう。

まずはなんと言っても車高調という名前の由来にもなっている車高調整です。上述した、本体に刻まれたネジによって車高を上下できます。車高は車の走行性能に大きく影響を及ぼす項目でありながら、個人でも簡単に調整することが出来ます。そのため手軽に車の特性を合わせることができ、これはモータースポーツでは非常に大きなメリットです。

もう一つはバネのバリエーションです。純正形状は車両毎に形状の違うバネが装着されていますが、車高調は全ての製品で規格化されたサイズのバネが装着されています。つまり、その規格に合っているバネならばなんでも装着できることを意味します。

バネもまた走行性能に大きく影響する部品です。例えばもう少しバネが硬ければ……というときに、交換することが可能です。しかし純正形状の場合はバネの選択肢はごく少数で似たようなものしかなく、そう簡単に調整することができません。しかも純正形状はバネの交換作業が大変です。

純正形状のメリットはあるのか

端的に言ってしまえばないと言えます。純正形状の独特のいびつなバネは、そのサスペンションの動きにあわせ余計な力が掛からないための設計であり、様々な工夫が盛り込まれた結果です。こう書くとそこに大きなメリットが存在しそうな気がするのですが、体感できるような違いはありません。

価格は純正形状の方が安価な傾向にありますが、エントリーモデルの車高調と大きな差は存在しません。また長期間使用して劣化した場合、買い替えの必要がある純正形状に比べ、OHで安価に直すことができるので、コストは有利であるといえます。

車高調整やバネの交換はモータースポーツをやっていれば必ず必要になってきます。そこまで使わないから、と思って純正形状を選ぶと後に後悔します。私がそうでした。大枚はたいて純正形状を購入してしまったくちです。

どんな車高調が良いか

ではどんな車高調を選べば良いかというと、安価なモデルで構わないと思います。極めて高機能なハイエンドモデルは非常に高価ですが、専用のレースカーで、本格的なレースにおいて勝ちを狙っていくのでなければ不要です。

ただし車高の調整機構は全長調整式がおすすめです。いわゆるネジ式は、車高を調整するとバネを圧縮しなければなりません(プリロード)。プリロードをかけず車高だけ純粋に調整できる全長調整式が理想的です。また全長調整式はネジ式の機能も備えているので、「ネジ式にすれば良かった」ということはありません。
キャンバー調整機構も欲しいところですが、この機能に至ってはエントリーモデルでもほとんどのモデルに備わっているので、そんなに気にする必要もないと思われます。

そして、走行性能に影響が大きいのはダンパーよりバネです。高い車高調を買うなら、ある程度安い物を買って別に良いバネを吟味しましょう。

乗り心地は純正より悪いのは間違いないですが、極端に硬くしなければ街乗りでも問題なく、ヒステリックな彼女でなければデートも出来ます。また純正形状のアフターパーツは、バネが柔らかくても結果乗り心地が悪いケースも散見されます。乗り心地はバネとダンパーのバランスが重要で、一概に「硬いバネ=乗り心地が悪い」わけではありません。

以上のように、純正形状のサスペンションは特に魅力的な要素がありません。サーキットや山などを全開で走るなら車高調でないと不十分であり、街乗りしかしないのであればそもそもサスペンションを換える必要は一切ありません。「たまに山道を飛ばしたりするから」という声をよく聞きますが、それは街乗りの範疇です。